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海外での受賞歴も。クリエイティブをとことん追求するカメラマン。

衣食住にまつわるアイテムや人物、風景などの広告写真から動画まで、幅広いジャンルを撮影する「八木スタジオ」さん。仕事に込めた思い、スタヂオ・ユニ 京都との仕事の印象など、代表でありカメラマンでもある八木 宣行さんに話を伺いました。(取材:加藤)

建築の世界から、カメラマンに転身

加藤:八木スタジオさんとスタヂオ・ユニは、どのくらいの付き合いでしたっけ?

八木:八木スタジオとしての付き合いは15年以上。僕と加藤さんは5〜6年くらいですね。

加藤:そもそも八木さんがカメラマンを目指すきっかけってなんだったんですか?

八木:実は元々、カメラマンを目指していたわけではないんです。建築系の仕事に就きたくて、大学も京都精華大学の建築コースなんですよ。

加藤:え!そうだったんですか?建築の世界から、どうしてカメラマンに?

八木:大学卒業後にインテリア関係の仕事に就いていたのですが、今でいうブラックな会社で体調を崩してしまいまして…。ちょうどその頃、カメラマンをしていた父親から、仕事を手伝ってほしいと声をかけられたんです。29歳ぐらいの時かな?

加藤:そうそう、八木さんはお父さんもカメラマンなんですよね。

八木:八木スタジオは元々、父親がつくった会社です。父親がカメラマンだということはもちろん知っていましたが、僕自身カメラの知識をまったく持ち合わせていなかったので、最初は必死に勉強しました。
ただ、父親は人に教えるのが苦手なタイプだったので、ほとんど独学。「ストロボでやわらかい光を演出するにはどうすればいいんだろう?」とか、「自然光でうまく撮影する方法は?」など、やったことがないこと、できないことは、とにかく撮影してテクニックを身につけました。自分で経験を重ねることで、少しずつできることの幅が広がり、仕事にも結びつくようになりましたね。

一緒に作品をつくりあげる感覚で

加藤:八木さんは、クリエイターが考えていることをしっかり汲み取ってくれるので、安心して仕事ができます。

八木:それは僕も特に意識しています。クライアントさん、デザイナーさんがイメージしているのはどんなビジュアルなのか、できるだけ汲みとるようにしています。

加藤:特に印象的だったのが、木版画作家さんの撮影。

八木:あれね(笑)。あれは撮影と動画の仕事でしたね。

加藤:そうそう。撮影の30分前に喫茶店に八木さんを呼んで、その時初めて撮影の趣旨を説明したんですよね。僕の頭の中にあるストーリーをパパ〜ッと口頭で説明して「じゃあお願いします」っていう。

八木:こっちは、え〜って感じでしたけど、なんとか無事に撮影が終わって。

加藤:丁寧に撮影してもらいました。そして、帰りの駐車場で「あれとこれを、ああやって〜」って、動画の編集について口頭で説明させてもらったんですよね。

八木:これも、え〜って感じでしたけど。

加藤:でも、上がってきた作品は、ほとんど僕のイメージしていた通り。信頼していなければ、こんな無茶ぶりしませんよ。

八木:そう思ってくれているならいいですけど(笑)。あと印象に残っている仕事といえば、提灯の撮影。

加藤:ジェイアール京都伊勢丹の仕事でしたね。2016年の大創業祭のメインビジュアルの撮影でした。

八木:本来まん丸い提灯のはずが、広げても丸くならなくって。水で濡らしたり、みんな必死でしたよね。

加藤:黒バックと提灯だけのシンプルな撮影だったこともあり、提灯の向きやライティング、角度などもかなりこだわりました。

八木:ユニさんと仕事をして感じるのは、コンセプトや企画がしっかりしているということ。常に新しい表現の形を模索されていて、一緒に仕事をして刺激的だし、楽しいですよ。

加藤:八木さんは、デザイナーがOKを出しても、「もっとこうした方がいいんじゃないか」って提案してくれますよね。ありがたいし、嬉しくもあります。

八木:ちょっとしたことで、もっと良くなることもありますから。できることであれば、試したくなるんです。ただ言われたままに撮るのではなく、一緒にアイディアを出しながら作品をつくることができればと思っています。

新しい撮影方法・ジャンルにどんどん挑戦

加藤:八木さんは海外の写真コンクールで受賞もされているんですよね。

八木:Getty Imagesさんによく作品をアップしているんですが、そこのアートディレクターの方とやりとりをして作品をつくっている感じです。普段は広告写真を撮っていますが、こういった自由な表現の場も大切にしています。制限がないから、例えばトマトがトマトっぽく見えなくてもいいし、実際撮影していて楽しいです。

加藤:クリエイターとして、自由な表現の場って大切ですよね。

八木:そうですよね。普段できない撮影方法を試すことでスキルアップにもつながりますし、これからも大切にしていきたいです。

加藤:今後、挑戦したいことってあるんですか?

八木:最近、撮影のついでに動画も撮ってほしいというリクエストが増えてきたので、動画をもっと極めたいです。広告予算が厳しいというクライアントさんも多いと思うので、時間をかけずに撮影・編集ができるようになりたいですね。最近のミラーレスカメラは、本当にきれいな動画が撮れるので楽しみながら勉強しています。他にいえば、ストックフォトにも力をいれていますよ。コロナで時間がある今だからこそ、いろんな撮影方法に挑戦しています。撮影した作品はストックフォトのサイトにアップして、クライアントに依存しない収入源の確保もしています。

加藤:コロナで時間があるからこそできることってありますよね。そういえば、最近、登山に行けていませんね。

八木:コロナが落ち着いたら、また行きましょう!

とっても気さくな性格で、現場をいつも盛り上げてくださる八木さん。仕事での撮影はもちろん、プライベートで登山へ一緒に行くなど、公私ともにお世話になっています。特に得意な分野は食品系だとか。動画も撮れるカメラマンをお探しの方は、ぜひ八木スタジオさんまで!

〈プロフィール〉
八木 宣行
1980年京都生まれ。学生時代は京都精華大学の建築学科で学び、卒業後はインテリアデザインの仕事に就く。2009年、29歳で八木スタジオに入社。未経験から勉強と実践を積み重ね、2年目以降は1人で現場対応ができるようになる。さまざまな撮影現場で経験を積むことで腕を磨き、2017年に会社を継承。生涯現役フォトグラファーとして、商品撮影やフード撮影・建築・ファミリーフォトなど幅広いジャンルで活躍中。気さくでおおらかだが根は真面目。手先は器用な方。愛犬家。疲れたときは、ボーダーコリーのさくら(♀)をモフモフする。趣味はキャンプと山登り。

株式会社八木スタジオ
□住所:〒603-8822 京都市北区西賀茂鹿ノ町23番地
□TEL:075-495-3377
□営業時間:平日9:00〜18:00
□WEB:https://yagi-st.co.jp/